母なる海の話
私が持っている1番とっておきの話をします。(きゅう!)
生物は皆、海から生まれ、我々の祖先は海から陸に上がりました。
しかし、海を捨てた訳ではなく、今も海を体内に持ち歩いているのです。
社会人一年目の現場研修(夏)で、私は初めてのその事に気が付きました。
30キロの大豆が入った袋(約700袋)をコンテナから出す。という作業をしたときです。
兄弟子の指導のもと、慣れない作業を炎天下でやるうちに、パンツはもとより、長ズボンのすね部分まで汗でビショビショになりました。
ある仲間は安全靴を脱いでひっくり返すと水が出てくるほどでした。
それは高校球児時代でも味わったことのないほどの渇きでした。
休憩になると、私は出勤前に百均ローソンで購入した、もはや磯の潮だまりほどにぬるくなったスポーツドリンクにおもむろに口をつけ、この後の水分補給のことなどみじんも気にせず、ゆっくりと、そして一気に、飲み干しました。
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ゴクゴクゴクゴク・・・
今潤しているのは、のどの渇きではない、、、体の渇き、、、違うもっと深い、深いところ、あぁそうか、、、今潤しているのは、海だ。太古の昔に祖先が陸に上がるときに、体内に取り込んだ海だ。体内の海を満たしているんだ。
祖先が陸に持ち上がった海は、羊水となり、次の世代へ、また次の世代へと受け継がれた。
陸に上がった生物たちは海を捨てることは出来なかったのか。
海なしでは生きていくことが出来なかったのだな。
体内に海を持つことで初めて陸に上がれたのだ。
・・・ゴクゴクゴ
あぁ、もうない。
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私が飲み物を飲んで、体内の海を満たしてるんだと感じたのは、後にも先にもこの時だけだ。
きっと肉体の疲労と暑さで意識が薄れ、潜在的な何かが覚醒していたのだろう。
その夏、沖縄に行った私は、海の中で大の字に浮いて、おもむろにシュノーケルを外し、おもむろに口を開け、体中で海を感じた。(口の中まで海水イン)
今後も海に行くたびに、やることだろう。
(ゴーグルも外して目も開けたけど、痛くておぼれかけたので、ゴーグルはもう外さない。)
あぁ、
キモすぎる。
良い子は真似しないように。